-出前授業-
「光合成を支える反応の連鎖を探る」
<基礎生物学研究所・近藤 徹 教授>」
2025年6月27日に基礎生物学研究所 近藤 徹 教授による出前授業が愛知県立岡崎北高等学校にて行われました。
近藤教授は、生物が行う光合成において、 太陽光の吸収過程に関わる色素分子やタンパク質が生体内でどのように働いているのかを、自作の顕微分光装置を使って調べ、研究しています。今回は理数科1年生のクラスを対象にその一端を紹介しました。
授業は、生物物理学と呼ばれる研究分野の紹介から始まり、近藤教授のこれまでの経歴、そして光合成に関する研究の具体的な紹介という構成で進行しました。生徒さん達からは「ちょうど高校の授業で光合成について学んだばかりで、それがこのような先端研究につながっていくと知り、難しいけど面白かった」という声が聞かれました。
質問も相次ぎ、授業後には長い列ができるほどでした。近藤教授は一人一人に笑顔で応じながら、生徒さんの声に丁寧に耳を傾け、回答していました。
<近藤教授からのメッセージ>
子どものときから自然を眺めるのが好きでしたが、理科が好きだったわけではありません。大学では消去法で物理学科へ。大学3年時の授業でNaCl(塩化ナトリウム)のX線回折像から構造を解析する実験を行った際に理論と実像がピッタリと合い、座学と現実世界が結びついたのが印象的で、実験が楽しくなりました。光合成をテーマにしたのはレーザー分光法で光合成の一瞬の反応を見るというインターネットの情報とわかりやすい解説本に出合ったことがきっかけです。そこで生物を物理学で研究できると知りました。研究者を目指していたわけではなかったのですが、企業に就職するより自分の興味を追究して世界と戦う研究者の価値観の方が自分には合っていると思いました。研究は理論モデルと実験データを先人から受け継ぎ、後世に渡す“たすきリレー”です。その歴史に身を置き、自己表現できる職業はなかなかありません。研究には答えがないので、自ら思考して行動に移す性格が求められます。勉強が苦手で何のために勉強をしているんだろうと考えるタイプが輝ける可能性があるのも研究者という職業の魅力ですよ。